新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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12モンキーズ

一昨年の10月に¥1で買ったVHSで鑑賞。

12モンキーズ [DVD]

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大抵の時間物は二つに分けることが出来ると思う。運命決定派と運命可変派。
圧倒的に前者が多いのだが、それはあくまで最後の結末の話。最後まで後者の立場で動いていながら、実は前者の結末で締め括るってのが、最も典型的な時間物のパターンなのではないだろうか。
結末としての決定論が生きるのは、運命を変えようという努力が皮肉にも逆に作用して、などの”行動と結果のギャップ”があってこそ、だと思うのだ。
 
これが決定的に欠けている本作のラストは、個人的には大いに不満。
 
これだけ何度も描かれていると、「わかってなかった」とは思えなくなってるし。「わかってて何もしない」のならば、何もしないだけの動機付けが必要だろう。わかってんだったら何かしようよ、としか思えなかったよ。
 
あの名作「未来世紀ブラジル」に最も近い雰囲気を醸し出す、映像や厭世観な未来像は上出来だったのになぁ。12モンキーズの皮肉でファンキーなオチも心地良かったし。
この結末のフラストレーションだけが、全体の良さを台無しにしてしまってるようで、とっても残念。