死神交換イタシマス

死神交換イタシマス―傑作短篇集 (Paper comics)

不条理とブラック・ユーモアという著者の特徴が、良く表れている傑作短編集。氏のブラックは決して”真っ黒”ではなく、ユーモアの波の表面に塗られた黒なので、読後感は悪くない。かえってこの絵柄で普通の日常を描かれたら、そっちの方が収まり悪くて変な読後感になっちゃうかも。ユーモア自体も”笑い”というよりは、すっとぼけた味わいのものなので、一読即ファンになるような作風でもないだろう。本書もそういう意味では、傑作集と云っても福山初心者向きとは言い難い気がするなぁ。
ちなみに解説を萩尾望都が書いているのだが、高校時代から既に二人に交流があったってことに驚いた。見事同年代なんだね。同時期に故郷の大牟田市で、後(のち)の漫画界の大きな才能二人が出逢ってたなんて、嬉しいエピソードだったなぁ。