新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞2008

政宗九さんが毎年主催している「インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞」の〆切が昨日だったので、駆け込みで投票。もう締め切られてるので、自分の投票内容を公開。


1.投票作品名
『首無の如き祟るもの』
 
2.理由、およびコメント

  • 『首無の如き祟るもの』

 この構図の凄まじさは空前絶後。今後首斬りをテーマに語る場合に、本作を落としては語れまいと思えるほど。バカミス寸前の終盤のメタ趣向も、首無し死体講義の意味合いだって、泣きたくなるほど嬉しくなっちゃう。昨年度の新作本格としては、やはりこの作品がベスト!

  • 『女王国の城』

 まさか15年の飢えをこれほどに満たしてくれるなんて。このシリーズに求める、ロジックの愉悦をたしかに与えてくれたよ。成長したエンタテインメント性で覆い通したホワットダニットも素晴らしい。重圧を跳ね返してのこの出来映え。素直に賞賛したい。惜しくも第2位。

 たっぷりのミステリ・ガジェットを煙幕にした、芯はシンプルなロジック・ミステリ。それでいてとぼけてて少し捻くれてて、ちょっぴりねじれ気味の本格。いや、これって、とんでもなく本格ミステリのフリをした、本格とは”ずれた”メタ本格なのかも。第3位。

  • 『密室キングダム』

 ハウを組み上げるトリック、ホワイを貫き通すロジック、フーを吹き飛ばす奇想。いずれもが読者を圧倒する大作。物理トリック自体は好みではないが、連鎖するロジックで築き上げられた本格の大伽藍は圧倒的だ。第4位。

  • 『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

 ボツネタお蔵出しという感じがしないでもないな。叙述系の内容にしても、こういう書き方ならば何でも可能。”あり得る”とすら感じさせる設定のユニークさは買うが、本格としては格別な評価もできず、大きく引き離された最下位。
 
3.オフィシャルの受賞作品予想
『女王国の城』

オフィシャルの本格ミステリ大賞の発表は今週中くらいかな?