新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

週刊石川雅之

週刊 石川雅之 (イブニングKC)

週刊 石川雅之 (イブニングKC)

もやしもん」の作者の初期短編集。いやあ〜、面白かったぁ〜。
一話読み切りで、ツイストの効いた作品から、ちょっといい話系まで、バラエティに富んだ11篇のアイデア・ストーリーが楽しめる。衝撃の展開と落雷のような結末*1の一話目にノックアウトされてからは、一気呵成に読み上げさせられてしまったよ。
ベストはその「彼女の告白」。男達のフェチ話にうんうん頷いてる間に無数の伏線がちりばめられていく「趣味の時間」が第二位。グーグーガンモ風の親子鶏のペーソスとユーモア感が雰囲気抜群の「フランスの国鳥」を第三位とする。次点はやっぱり殺し屋の過去と現在のギャップを描き尽くす「WILD BOYS BLUES」だなぁ。
衝撃の展開、伏線の妙技、意外性豊かな結末に、たっぷりとまぶされるバカ風味。これにほんのりと沁みる甘じょっぱさを隠し味にした佳品揃い。意外にミステリファンにもお薦めかも?!

*1:この”落雷のような結末”とは、東京創元社・日本探偵小説全集11巻(名作集1)において、編者である北村薫が羽志主水「監獄部屋」を評す際に用いた名言。