新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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10億分の1の男

1/16 洋画★シネフィル・イマジカ放映分。
イデア自体は面白いと思うのだけど、ストーリーとしては説得力が無さ過ぎて、総じてはとにかくつまらない映画になってしまっている。根本のアイデアである”運のやりとり”に関して、まずはディテールで観客を納得させるところから始めてくれなくっちゃ。
主人公がケチな泥棒ってのも、ラストの盛り上がりに水を差す。そんな奴に愛云々言われたくないわ。二人の絆に関しては何も描かれていないだけに、唐突感ありありだし。ボスの昔語りに比べたらしょぼ過ぎじゃないか。
そもそも10億分の1の男じゃなくって、たかだか3分の1の男やん。頭が甘いだけの男ですってか。ボス戦に至る必然性が微塵も納得できないよ。これを代表例として、全てに関して”必然性”の描かれない脚本は問題。”運”と”偶然”の差分も表現できないようでは、この映画としての価値は出せまい。