新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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原稿を依頼される(上半期お薦め本)

SRマンスリー(「SRの会」の会報)の編集長からメールを頂き、原稿を依頼されてしまった。例年のベストテンでの投票数上位の人の上半期お薦め本をマンスリーで紹介するらしい。ということで本日〆切で書き上げた原稿がコレ(600字以内)。

例年、国内部門の投票で8点以上を付けるのは5作品程度なのだが、上半期の段階で既に4作品。広い読者層を対象とした目玉作品はないものの、悪くない年になりそうだ。
自分の順位は第4位だが、多分SR投票で高い評価を集めるのが、道尾秀介『骸の爪』
伏線とその回収、すれ違いネタの波状攻撃。いったいどれだけの小技が積み重ねられてるやら。本格ミステリ大賞候補には、この作品こそがふさわしいと思わせる快作。今年の本格を語るには、これは読み逃せないぞ!
エンタテインメント性が希薄で構わなければ、ミステリ・パズル現代随一の作り手が、またも丹念に紡ぎ上げた傑作は必読。純粋本格の力を見せつける、大山誠一郎『仮面幻双曲』にて、奇想とトリックに淫して欲しい!
一体何が起きているのか、ホワットダニット型の面白さが味わえる二作品にも要注目。
霧舎巧『名探偵はどこにいる』は、派手さには欠けるものの、爽やかで綺麗な解決!
SRでは不人気なラノベ系だが、米澤穂信夏期限定トロピカルパフェ事件』も、伏線に論理にと捻れを秘めつつ美しい。キャラクタが密接にミステリに結びつくのもお見事!
法月綸太郎乙一ミステリーランド両作品も、冒険系ながらミステリのアクロバットも愉しめて、子供だけになんて勿体ないぞ!
ああ、芦辺拓の相変わらずのテクニック、東川篤哉のバカトリック藤岡真の多重仕掛けについて、語る字数が無くなっちゃった!