新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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DEATH NOTE 12巻(完)

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス)

本当に終了。まぁ、13巻というファン・ブックは出るみたいだけど。
ジャンプにありがちな見苦しいほどの引き延ばしをせず、これだけのテンションできっちりとした終着を迎えられた点、賞賛に値すると思う。
誰もが圧倒されて何も言えなくなるような”ベスト”の形ではなかったにしろ*1、なんら逃げることなく真っ正面勝負で描き切ったのは、やっぱり凄いことだろう。最後まで論理闘争を圧倒的なエンタテインメントに昇華させたままで突き進んだわけだからね。漫画史上に残る傑作という評価を、揺るがさずに終わってくれて良かったよ。
但し、ベストの形ではない以上、色んな人が色んなことを言うだろう。というわけで、かくいう私も少し、ネタバレ・ゾーンにて。
11巻の感想で書いたように、読みの深さでニアがライトに勝利する、というパターンはないと思っていただけに、ちょっとだけ残念な気持ちは感じた。メロ・ニアの合わせ技という、当初からの射程範囲内の結末なんだろうけどね。
前回予想した「道具とする人物がライトの思考に付いていけずに誤動作してしまう」に近いことはあったが(魅上の高田清美に対する書き込み)、「自滅型」エンディングというよりは「完璧な敗北」だものなぁ。判官贔屓よりも、圧倒的に強いものに魅力を感じる自分としては、キラの完全敗北ではなく、「実質的には勝ちなのに結果的には負ける」くらいの結末を期待していたわけだ。
しかしまぁ、ここまで無様な負けっぷりを描き出すことも、予定のうちだったんだろうなぁ。この対比があるからこそ、最終回の意味深なラストシーンが活きるわけだろうし。しかし、この最終回自体蛇足という考え方も成り立つだろうし、作者として欠かせざるを得ないシーンという見方も納得できる。そういう読者の葛藤を敢えて誘導する点で、結構上手いエンディングなのかもしれないね。
とにかくお疲れ様でした、大場つぐみ様、小畑健様。最後まで堪能させていただきました。

*1:第一部ラストは、まさしく"ベスト"だったと思う。