新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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指定バトン『映画』Part1

ぱちさんからmixiにてバトンを受け取りました。本来なら全部書き上げてからアップすべきなんだろうけど、それだと結構日数かかりそうな気がするんで、ぼちぼち書かせてくださいな。決して日記水増し作戦ではないぞよ。いや、そうかも(笑)
 
◆廻してくれた人から貰った『指定』を『』の中に入れて答える事。
◆また、廻す時、その人に指定する事。
(。・ ・。)ノ さんからの指定は・・・『映画』
 
◆最近思う『映画』
二つほど。
 
まずは何度か書いてるけど、”そのまんま邦題”の問題。原題をそのままカタカナにした題名が、どうも苦手なんだよね。なんだか凄く頭の悪い感じを受けてしまう。普通は知らないでしょってな単語を使われてると、今度は逆に馬鹿にされてるような気もしてしまうし。どっちにしても気持ちいいもんじゃない。
下手に意味不明な題名にされるよりはましだろう、という意見もあるだろうけどね。でも過去の名画って、邦題のセンスで魅力が増しているものが多かったと思うんだ(「昔は良かった」式の繰り言なのかもしれないけど)。今はそんな努力が放棄されているように見えてしまうんだよね。
 
……ってな、ぼやきじじいになってばかりなのもなんなので、もう一つの話。
現在に至るこの十年って、ミステリ映画にとっての「新本格」の時代じゃなかったんだろうか? そして幸いにもそれは今もまだ続いてる。サスペンスやスリラー、それにホラーといったジャンルの映画において、衝撃の結末や意外な真相、叙述や語り口の手法やら、ここまで花盛りの時代はいまだかつてなかったと思うんだ。
では、このミステリ映画界にとっての『十角館の殺人』は何だったのか? これが95年の『セブン』と『ユージュアル・サスペクツ』だったんじゃないだろうか? 実は『セブン』はラストのとこだけTVで見てしまったせいで、きっちりと通しで見たことはないので印象としての話になるが、『セブン』において”スタイル”と”衝撃”とが、『ユージュアル・サスペクツ』において”叙述”と”技巧”とが、明らかなインパクトを伴って降誕したんじゃないかと思う。
そして、この”スタイル”は『キューブ』などの映画に、”衝撃”はナイト・シャマラン監督作品などの映画に、”叙述”は『メメント』などの映画に、”技巧”はアメナーバル監督作品などの映画に、引き継がれていったんだと思う。各映像作家がそれらを意識していたかどうかは別としても、そういう見えない波が映画界全体に流れていたように私は感じてるのだけど、どうだろう?
特にナイト・シャマラン監督の存在が(個々の作品の出来映えは置いといて)、一般の観客への浸透につなげてくれたおかげで、更にこういうタイプの映画が作りやすい環境が出来上がってきたんじゃないだろうか。この意味での貢献は大きいと思う。
とにかく『新本格』という日本ミステリ界のインフレーション/ビッグバンの時代を経て、一通り落ち着いた頃に映画界における『新本格』の時代をも経験できたこの20年間というのは、ミステリファンにとっての幸福な時代だったと思う。
そう、あの衝撃の綾辻行人デビューが87年。いよいよ来年は新本格20周年を迎えるというわけだ。さあ、次の10年はどんな時代になるんだろうね?