- 作者: 山田彩人
- 出版社/メーカー: 南雲堂
- 発売日: 2018/11/28
- メディア: 単行本
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バカミスと呼びたくなるほどのぶっ飛び度は全然無いのに、
普通のハウダニットの括りには収まりきれない程度の珍奇さ。
いわば、ザ・中途半端。
珍奇な状況を珍奇なトリックで説明されて、
そりゃそれで出来なくはないだろうけど、という感想を抱かされても、
読者としてミステリの興趣は味わえない。
せめて各短編の冒頭を無駄に潰してる、全編を貫く事件の真相が
何か興味深いものがあれば良かったんだけど、
これまたありがちなホワイダニットで興を削がれる。
もろにこれをテーマとした、ミステリ映画ファンなら知る人も多いだろう
サイコスリラー映画もあるわけだし。
但し、唯一の例外が五話目の「魔術的な芸術」
この作品だけは、珍奇な状況を真っ当な真相で説明し尽くしてる。
全てのホワイダニットが、きっちりと綺麗に収まる様はお見事。
これこそが本格ミステリでしょ。
この短編だけは「ベスト本格ミステリ」に収録されていい出来映え。
さすがにこの一編だけでは支えきれず、採点は6点。