新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ただ、それだけでよかったんです

ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です』という遺書を残して―。自殺の背景には、菅原拓によるKたち四人への壮絶なイジメがあったという。だが、菅原拓スクールカースト最下位の地味な生徒で、Kは人気者の天才少年。また、イジメの目撃者が誰一人いないことなど、多くの謎が残された。なぜ、Kは自殺しなければならなかったのか。「革命は進む。どうか嘲笑して見てほしい。情けなくてちっぽけな僕の革命の物語を―」悪魔と呼ばれた少年・菅原拓が語り始めるとき、誰も予想できなかった、驚愕の真実が浮かび上がる。第22回電撃小説大賞受賞

この冒頭の奇妙な謎が、一応解き明かされるあたりは納得。
 
ただ伏線の貼り方が下手で、説得力には欠ける。
Kと菅原の関係とか、姉について突然明かされる話とか。
もう少し描写として何か事前に挟めただろうと思ってしまう。
 
これがもっとひどくなるのが、その真相解明の後のくだり。
伏線の無い唐突な意外性もそうだし、
ネット上のある人物や、『人間力テスト』絡みのところの応酬は、
説得力に欠けるどころか、論理破綻しているとしか思えなかった。
 
ここが本書の基本設定の部分なので、
説得力が無いと絵空事でしかない作品になってしまう。
残念ながらそうなってしまってると思う。
広義のミステリだとは思うが、採点は低めの6点。