新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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風神の手

風神の手

風神の手

初期以降は、ほぼ毎年1冊づつくらいのペースで読んでいる道尾秀介だけど、
15年の「透明カメレオン」に並ぶか、いや、多分それを越える秀作だった。
道尾秀介中期を代表する作品として、今後記憶されるようなものになるかもしれない。
 
とにかく本書の全てが伏線かと思えるくらい、
隅から隅までずずずずずい〜〜と、とにかく張り巡り尽くされている。
全てが繋がり、因果は巡り、そうしてそこに題名の意味がそっと置かれる。
 
嘘と真実。
それらは必ずしも常に対義語であるとは限らない。
嘘は時には真実でもあり、真実も時には嘘になり得るのだろう。
嘘と真実が反転しつつも因果を転がし、大きな織物として編まれていく。
 
精緻に織り込まれた作品の歓びをじっくりと味わえる。
 
秀作だろう。採点は7点。