折りたたみ北京

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

モスクワ出張中に読んでいたのが本書。共産圏繋がりで。
 
ふだん全く触れることの無い中国SFの秀作揃いのアンソロジーとして、
大いに価値のある、読み応え十分な良書だと思う。
 
比較的普遍的な作品であっても、やはりどことなく中国らしさを
感じさせるものばかり。
直接的に近現代中国の抑圧を想起させる作品も見受けられるし
(そう読むなって言われても、そう読めてしまうのはしょうがないよね)、
そうでなくても舞台が猥雑でオリエンタルな街並みとして、
脳内で展開されてしまうような作品が多い。
ファンタジーであっても、宇宙であってさえも。
 
中でもやはり、巻末に配置されている劉慈欣の二作品が、
ずばぬけて素晴らしい。
 
ある意味どちらもバカSFと称することも出来そうな
とびっきりの奇想SFなんだけど、
軽薄味なんて一切感じられない、重厚と言い切っても構わないくらい
スケール感とみっちりとした密度で描かれた傑作。
 
ベスト3のワンツーフィニッシュは、
この「円」と「神様の介護係」に間違いなく決まり。
「三体」が出版されたら、読まなくっちゃいけないよなぁ。
 
第3位は作品としての読みやすさも、中国ならではのテーマ性も
際だって感じられる馬伯庸「沈黙都市」かなぁ。
 
次点として、
味わい深さとペーソスとユーモアの結合、夏笳「童童の夏」、
イメージの奔流に翻弄される糖匪「コールガール」の
二作品を選んでおきたい。