新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

ORIGIN 1~10巻(完)

巻数が多いので、書影は最終巻のみ掲載。

 
いやあ、面白かった。
BoichiオリジナルのSF漫画は流石に面白いわ。
「サンケンロック」(未読だけど全然読む気がしない)の10年間が勿体ないよ。
その若さ的には充実の期間に、もっとSF書いて欲しかった。
 
三部作構想の二部目ということで、説明不足のところがあったり
(そうしないと1部、3部の意味が無くなるから仕方ないとはいえ)
スーパーサイヤ人もびっくりするくらいのスケール感のぶっ壊しが
あったりはするんだけど、相当に骨太のSFアクション漫画。
 
CGにかなりの予算が喰われることは想像付くが、
なんでこれを実写映画化しないかな。
ラブもアクションも謎解きも、その他映画に必要な
ほぼあらゆる要素が揃ってるのに。
テーマはまだまだ流行りのシンギュラリティなわけだし。
 
ハリウッドが買ってくれてもいいかも。
難しいとこバッサリされて、シンプルなアクション映画になるかもしれないけど。
 
いやあ満足。
ただ、ある程度想像の付く一部や、ここまで行き着いてしまった以降の3部は
そこまで心惹かれないので、それらより別のSF作品を是非!
 

私の夫は名探偵で7人の泥棒を捕まえた

土日は両日とも長めの歩きing。
土曜日は古淵ブックオフまでの1時間44分。
日曜日は川崎長沢店までの1時間17分。
お昼食べてから新百合ヶ丘駅までの37分。
土曜日17,785歩、日曜日18,886歩。
 

  • 昨日のブックオフ古淵駅前店
    1. 私の夫は冷蔵庫に眠っている 1 八月美咲・高良百 裏サンC ¥60
    2. 私の夫は冷蔵庫に眠っている 2(完) 八月美咲・高良百 裏サンC ¥60

以前マンガ沼で紹介されてたな。殺したはずの夫が帰宅してくるという戦慄のラブサスペンス。しょーもない真相でなければいいのだけれど。
 

  • 昨日の町田ブックオフ
    1. 勇者名探偵 3 北欧ゆう ガンガンC ¥10

これが見つかったのは嬉しいけれど、最悪のリニューアル。3階がホビーフロアになって、2階、3階の本・漫画が全て2階に集結。全体縮小された上に、棚の間の通路、狭っ!
 

ちょうど抜けてた巻が見つかってラッキー。行った甲斐があるってもんだ。
 

山上正月版は割と評判良さそうなので、他に買いたい物が無いときに地道に集めようかな。
 

孤島の鬼 1~3巻(完)

 
乱歩の最高傑作に挙げられることの多い作品。
 
原作は多分高校生の頃に読んだんだろうと思う。
すっかり100%記憶の果てに飛んでいってた。
シャム双生児が出てきたようなおぼろげな記憶はあったけど、
人為的なものだったとは、と驚いたくらいだし。
 
この感想書くときにネットであらすじ調べてみたけれど、
この漫画版はかなり原作に忠実な作品ではないかと思う。
 
画も美麗だし、乱歩の雰囲気も表現できてるのではないかと思う。
(原作の記憶は無いので、おそらくという推測に過ぎなくはあるが)
 
「孤島の鬼」の漫画化としては決定版と考えても良いのでは。
 
ただ、やはり日本ミステリ・ベスト30の怒涛の全作品解説にも書いたように、
乱歩は基本的に短編作家だよなぁ。
 
長編の最高傑作といわれる本書を読むと(漫画版だけど)、
改めてその思いを強くした。
 

フルスロットル トラブル・イン・マインドⅠ

 
「死亡告示」よりも、こちらの方が断然面白かった。
 
収録された六本全てが、ツイストの効いた作品ばかり。
どの作品でも必ずどこかで「えっ!」とか「おっ!」と思わせてくれる。
(唯一「ゲーム」だけは展開は面白いが、驚きは感じなかったけど)
 
「死亡告示」は「永遠」以外、そんなにしっくり来なかったけど、
こちらはまさしくディーヴァーの短編集という印象そのもの。
 
やっぱりこう来なくっちゃね。
 
ベストはダントツでキャサリン・ダンス物の表題作。
尋問での応酬、中盤のひっくり返し、大逆転の一打、
粋な締めくくり、と長編の要素を全部詰め込んだような驚異的な完成度。
 
第二位はジョン・ペラム物の「パラダイス」
冒頭のサスペンスから、終盤の怒濤のようなどんでん返し。
 
第三位はリンカーン・ライム物の「教科書どおりの犯罪」だな。
これまた長編を凝縮したような作品。いつものライム物の佳品やん。
 
これは昨年度の海外物ベストだな。採点は8点。
 

名探偵のいけにえ

 
ミステリとしてのロジカルさには定評あるものの、
アンソロジーに収録された数編の短編いずれもが、
どうしてもそのグロさがとても自分が許容できるものではなかったので、
もうこの人の作品は読まないと決めていた作者。
 
さすがに本書に関してだけは、これだけ高評価だと読まざるを得ないと腰を上げたが、
本作には全くグロさは感じられなかったし(凄惨な死体描写が軽くあった程度)
これはたしかに”読まなくてはいけない”作品だった。
 
この多重推理は凄い!
 
非常にロジックが整然としている。
それぞれに隙が無く感じられる。
 
宗教という特殊条件を組み入れた上で、
これだけロジカルに、二者択一の多重推理を組み上げ
(最初の捨て推理を入れれば三重の)
それぞれに意味のある解決を示せるのは、信じ難いほど驚異的。
 
これはミステリを愛する者、特にロジックを愛する者は、
”絶対に読むべき作品”と断言しても良いのではないか。
 
更に大きなどんでん返しまで魅せてくれたりするし。
 
採点は8点。「名探偵に甘美なる死を」すら超えて、
昨年度の第二位としたい。