新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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放送禁止の店で碧い夢を喰うサラ金の子供

システム変わって使い辛くなってたので、久しぶりのネットオフ。
(と思ったら、3月にも買ってたか)
「ちょうど9点で送料無料」と「9点以上のお買い物で5%OFF!」の併用で。

1.がなんとこの価格で入荷できるなんてと思って、他の作品を見繕ったので、今回の大目玉。下品を芸の域に高めた落語家の逸品。2.は本ミス2019の「我が偏愛本格ミステリ」のコーナーでチェックしたショート・ショートが収められた作品集。3.は百円に落ちたら買い(と言いながらまだ読んではいないのだけど)。4.,5.はこれで完結。6.もこの巻で完結。7.はマンガ大賞2017の第二位作品。8.,9.は同じく2015の第二位作品。

ボヘミアン・ラプソディ

10連休の初日、立川に行く用事があったので(その前週妻と待ち合わせした際に
サイゼリヤに図書館本置き忘れてしまってそれを受け取りに行くというハジバナ)、
じゃあ、ついでに名物の”極上音響上映/極上爆音上映”を一度体験してみようかと。
 
なにせ極音を楽しむのにこれ以上のセレクトはないんじゃないかという映画が
まだここでは上映されてるので。
すでにセル版も発売されてるけど、家の小さな画面では本当の良さを味わえない映画だろう。
 
というわけで、04/27(土)に立川シネマ・ツーにて、極上音響上映で鑑賞。
出遅れにもほどがあるけど、これが初見。
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さすがに極上音響上映のハイライトでもある、ラストのライブシーンは最高。
抜群の臨場感にゾクゾクしてしまう。
映画館の大画面だからこそ(それでも実際のものからは相当に縮小化されてるとはいえ)
演者側から客席を見る感覚ってのも、初めて疑似体験できたような気もした。
 
ただ世間で言われてるほどの胸熱感は覚えられなかったかも。
 
というのも、人間ドラマとしては若干掘り下げが足りなかったように思えたからかも。
そのせいで、人間フレディに対しては、最後まで共感を覚えられなかった。
家族との愛や葛藤、生涯関わってくるメアリーとの関係性、
ゲイに目覚めてからの奔放性、ポールとの関係、ソロを受け入れた動機、
どれもヒストリーであって、真に説得力をもって語られてはいないように思えたのだ。
 
一方、学生時代にベスト版を買って聞いてた程度には、馴染みがあったクイーンなので、
曲が作られている過程が描かれてるところは、実にリアルで良かった。
表題曲や「ウィー・ウィル・ロック・ユー」のところ。

極音としては満足。いつか映画によっては極上爆音上映も試してみたい。
映画としては、これだけ皆が熱くなってるほどには、入り込めなかったというところかなぁ。

お米とおっぱい。

03/12 日テレ1放映分。

お米とおっぱい。 [DVD]

お米とおっぱい。 [DVD]

 
カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が2011年に自主制作で手がけた長編作品。
 
十二人の怒れる男」と「12人の優しい日本人」の系列に確実に繋がる作品。
ただ自主制作ってことで、メンバは五人と、ほぼ最小限の構成。
 
ここで議論される議題は「“お米とおっぱい” この世からどちらかが無くなるとしたら、
あなたはどちらを残しますか?」というもの。
 
バカバカしくて面白いんだけど、やはり漠然としていて、
最初に挙げた名作二本の見事な収束感には全く辿り着けなかった。
つうか、この結論はないっしょ。単なる卓袱台ひっくり返しなんだもの。
 
議論を通じて、参加者の人生模様が浮き彫りにされて、
何故そこに固執しているのか、という謎解き展開があって、
というところまでは、ちゃんと踏襲してるのになぁ、なんとも残念。
 
概ね良かったのに、この決着のさせ方(というか、させなさ具合)だけはどうにも納得いかず。
 
ちなみに私は声を大にして言うが、一片の迷いも無く、おっぱい派だな。

ソウル・ステーション/パンデミック

01/12 ムービープラス放映分。

ソウル・ステーション/パンデミック [DVD]

ソウル・ステーション/パンデミック [DVD]

 
新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚を描いた長編アニメとなっているが、
繋がってる感は非常に希薄。サイド・ストーリーと云った方が妥当なように思う。
そもそものホームレスじいさんの冒頭シーンの前が見られるんだったら、別だったけど。
 
ただ、これはこれでゾンビ映画として、比較的完成された一つの型を描いている。
そういうジャンル作品として終始見ちゃってるものだから、
思いがけぬ方向から飛び出してくる意外性も味わえてしまうし。
 
絵はあまり魅力的ではなかった。
なんかみょうにぬめぬめとした動きも、気持ち悪さを感じる。
ゾンビの方は逆に軽快感はあるんだけど、人間の方の動きが。
 
新感染 ファイナル・エクスプレス」が気に入ったから、こっちも見るか、
というモチベーションを満たすような作品ではないけど、
これはこれで、ありっちゃああり、というところだったかなぁ。
 
主人公達はほぼ誰も好きにはなれない作品だけど。
この辺は「新感染」とはだいぶ違う。

金田一37歳の事件簿 1巻~2巻

金田一くんに興味無い方、延々の連投ごめんなさい。
これでとりあえず出し切ったので、もう当分は無いはず。

 
というわけで一気に37歳へ。
(以下は、事件のネタバレは無いけど、キャラのその後の話には触れてるので、
 自分の目で確かめたいけど未読って方は、読まないことをお薦めします)
 
やはり一番気になるのは美雪との関係。
金田一が独身のままだってことは、美雪はとっくに人のもの
(ひょっとしたら明智の嫁とかあり得るかも)だと勝手に思ってた。
直接的には登場せず(SNSでのやりとりの文面だけ)だったけど、
どうもあの頃の関係がそのまま継続してるような描き方のよう。
37まで抱けないままで、友達以上・ギリ恋人未満の関係が続くなんてあり得んよなぁ。
どんな下半身去勢ファンタジーですかっつうの。いくらセックスレスの時代とはいえ。
 
ただもう一つの方(地獄の傀儡師)は、ちゃんと進展してた。
天樹征丸がとっておきのネタを思いついたら、顛末も描かれるんだろうな。
(その時が来たらきっと気合い入った作品なんだろうから、期待度大だな。
 謎解きたくない、の心理的背景はそこで描かれるんだろうか?)
 
しかしまぁ、明智が付いてて、こんな杜撰な管理体制は絶対あり得ないけどね。
せめて一人を洗脳して傀儡として使ってるなど、少しは無理を削いで欲しかった。
便利なツールとしてどこまでもしゃぶり尽くしたい所存と見える。
弟子ネタ乱発も出来る土壌を作っておいて、なおかつってのが少々セコい気も。
 
本題に戻れば、事件自体はたいしたことは無かった。
ハウダニットはこれまでのパターンの焼き直しみたいな物ばかりという印象。
そのかわり高校時代との違いを強く打ち出すように、
セルフパロディを確信犯的に意識したシチュエーションの目白押し。
ひいてはミステリそのもののパロディになってたりもするけれど。
 
次の話は倒叙物みたいだし、ミステリとしての期待感は更に薄い。
 
新相棒もキャラとしての存在感は全く無いし、
美雪が結局居座ってる以上、ロマンスの色味も出せないだろう。
37歳に一気に飛ばすという、大きく振り切った突飛さの割には、
シリーズとしての新しい魅力は見えてこなかった。
 
売りはパロディ色だけ?
制作陣、そのうち後悔しないかな?
普通に結婚させて、子供とか登場させといた方が
(37歳なら、子供の年代も複数設定出来るし)
展開の幅は広がったんじゃないかと思うけど。
 
そんなありきたりにはしたくなかったんだろうなぁ。